想像以上に世間からの反響が大きく、
本人の望まない形で時の人となってしまっている花巻東の千葉君。

当ブログやTwitterでもちょいちょい書きましたが
2009年夏の高校野球において、
同じく花巻東でカットマンとして活躍していた佐藤君のプレイスタイルが
僕はものすごく好きだったんです。


そんな中現れた今年の千葉君。

佐藤君が辛い理由でこの世を去ってしまったということも相まって
彼の生き写しのようなカット戦法に感慨深いものを感じずにはいられませんでした。


で、何やかんやあって今回の騒動ですね。
2塁ランナーとなった千葉君が、
キャッチャーミットの位置をバッターに教えていたのではないか、と主審に注意を受けた件。

この対鳴門戦、実際にテレビで生中継を見ていたのですが
その時の僕の感想としては
「ちょこまかとショートを煽っているのが、それっぽく見えちゃったのかな」
という程度のものでした。

そこまで非常識なチームではないだろうと。


こちらが件のシーンです。


千葉君が出塁している場面を全て確認した訳ではないので
この動画だけで花巻東が卑怯者だと判断するのは早計だとは思いますが、
これは疑われても仕方がない。
残念ながら、千葉君が左腕を上げたのは打者にコースを教えたようにしか見えません。


万一、言われていることが事実だとして
このような行為を常習的にやっていたとしたなら
僕は今後花巻東を応援することはないでしょう。

かと言って、監督が「事実です」と公表するとも思えないので
来年以降の活躍を見て判断するしかないのですけれども。

月並みな言い方ではありますが、
真剣勝負の場でこういう水を差すような行為は許せません。
もちろん、バレないように打者にサインを送っているチームも
少なからずあるかもしれませんが、
「勝てばよかろうなのだ」的なマキャベリズムを振りかざすようなチームが
花巻東高校も含め、甲子園に出場出来るはずがないと僕は信じています。

サイン盗み疑惑に関しての意見は以上です。



んで、
それに追従するかのように取り上げられ始めた、
千葉君の執拗なカット戦法についての是非。

2009年の佐藤君に関しては、
高校野球ファンの中では「凄いカットマンがいる」と話題になりましたが
世間ではそこまで取り上げられてなかったと思います。

そして彼のプレイスタイルについて
「俺は好きじゃないな」という意見は多少ありましたが、
「卑怯だ」などという感想は殆ど目にした覚えがありませんでした。

にも関わらず、今回の千葉君はやけに叩かれてる。

これは単純に、野球経験のない人が『サイン盗み疑惑』キッカケで彼のプレイスタイルを知り
「ファールって何度打ってもいいの?なにこれ!超ずりーじゃん!」
と騒ぎ立ててるだけのように見えるのです。
叩いてるのは主にそういう層なんじゃなかろうかと。

僕は普段、サッカーをあまり見ないのですが
選手が大袈裟に転んで痛そうにするシミュレーションってのが苦手です。
バカじゃないの、って思います。
しかしサッカーのルール上、それは全くおかしくない訳で。
サッカーファン的には日常茶飯事な訳で。
それでも僕は見る度に「うわぁ…だせぇ」と思う訳で。

まぁそういうことなんだろうと。
野球ファン以外の目にもついてしまったせいで
増えた分母に比例して批判的な意見も増えただけなんじゃないか。
そう思っています。


で、です。
それはそれとして。

「そもそもこのカット戦法ってどれくらい難しいことなの?」
ってことについて。

僕は、怪しい球を確実にファールゾーンに飛ばすという技術に関して
素直にすごいことだと感心していました。
僕には到底真似出来ません。
ましてやフライも許されない訳ですから。
簡単なことではないはずです。

しかし、実際はどうなのでしょう。

並の高校球児がひたすらカットの練習をした場合、
どの程度の練習量をこなせば、
千葉君・佐藤君レベルのカット技術を身につけることが出来るのでしょうか。

カット戦法否定派の意見に
「これが許されるなら、打者全員カットマンにすりゃいいじゃねーか」
というものを度々見かけます。

極論ですが、確かにその通りだと思いました。

千葉君や佐藤君のような理由がない限り、
甲子園を目指す高校球児がカットマンを目指す理由なんてありません。
つまり、今まで誰もやりたがらなかっただけで、
やろうと思えば割と誰でも出来ちゃう可能性だってあります。
努力してきた千葉君・佐藤君には物凄く失礼なことを言っていますね。
申し訳ない。
可能性の話です。


しかし今回の件を受けて、
もし今後、一番バッターにカットマンを置く高校が増えてしまったら。
ひたすら四球狙いの高校が、どんどん勝ち進むような事態になってしまったら。

それは正直…あまり面白くない。

千葉君や佐藤君のプレイを賞賛しておきながら、
こういうことを言うのはおかしいとは思いますが、
素直にそう感じてしまいました。


そして、準決勝の花巻東の試合は見れなかったのですが、
何やら審判団から注意を受けたとかで
千葉君は一切のカットをせずにノーヒットで終わったとか。

もしかしたら今後、隠し球のように
「高校生らしくない」
という理由で、カット戦法が禁じ手のような扱いになっていくのかも知れません。
もちろんそれは寂しい限りなのですが、
上記のような可能性を考えると致し方ないのかなという気持ちもありつつ。
非常に複雑な気持ちです。


などと偉そうに長々と講釈たれましたが、
・カットの技術は実は簡単に習得出来るのかも知れない。
・今後、模倣する選手が増えるかも知れない。
という仮説の上に成り立っている妄想話です。

僕自身、中学3年までの軟式野球しか経験したことのない
素人に毛が生えたレベルのエセ野球人間です。
未だに送球フォームがおかしいと言われます。

その程度の人間が、
今回の一連の騒動を受けて考えたことをつらつらと書かせて頂きました。


繰り返しになりますが、
僕は佐藤君や千葉君のカット技術に特化した戦法は好きです。
体格に悩んでいる全国の小柄な野球少年の希望になっていると思います。
凡コメントですね。すみません。


未だに収束する気配のないこの騒動。
今後も注目していこうと思います。