移動時間等を利用してちょっとずつ読み進めておりましたが、一昨日読了。
山本弘の短篇集です。
致命的なネタバレはありませんが、少々内容に触れますので
気になる方はスルーで。
5つの短編が収録されていたのですが、
取り分け楽しめたが『時分割の地獄』と『夜の顔』。
特に『夜の顔』の振り切った不条理っぷりというか、
抗いようのない何者かに対する絶望感は最高でした。
あらすじを掻い摘んで説明致しますと、
「人は何のために繁栄を続けてきた?何のために生きている?その先に何がある?」
という素朴な疑問を抱いてしまった男が、
ある日の夜、車の窓からふと人気のない路地裏に目をやると、
そこに"顔"を見つけた。
見た目はただの平凡な中年男性(著者曰く「竹中直人をイメージして下さい」とのこと)のそれなのだが、
首から下は存在せず、あまりに大きく、そしてあまりにはっきりとそこに存在していた。
その日以来、その巨大な"顔"は頻繁に男の前に姿を見せる。
しかし何故か『男が一人でいる夜』にしか現れない。
当然男は自らの精神病を疑うのだが、
医師の診断では、男の体には何ら異常は見られないとのこと。
そこで男は、「自分の頭が異常なのだ。この世界は正常だ」ということを証明する為に、
その"顔"を携帯電話のカメラに収めようと試みる。
ある日、至近距離に"顔"が現れた。
額のシミも、目尻の皺まではっきり見える。
呼吸音も聞こえる。
確かにそこに存在しているかのよう。
男はすかさず"顔"を撮影した。
画面には……。
といった内容。
信じていた『常識』や『法則』というものが、
いとも簡単に中年のおっさんの顔(竹中直人似)によって壊されていく恐怖。
特に何をされるという訳でもないのに、
巨大な中年のおっさんの顔(竹中直人似)が「確かにそこにある」という恐怖。
もうたまりません。
しかしこれ文章で読むと恐ろしい話なのですが、
映像化したら絶対笑ってしまう自信があります。
巨大な竹中直人の顔が突如音も無く現れるのを想像してみて下さい。
シュール以外の何物でもありません。
超見たい。
そこで思ったのが、
実写での再現が難しく、かといってアニメ絵だと魅力が半減してしまうようなこういった物語を
『惡の華』で一躍話題になったロトスコープなる技法で映像化したら面白いんじゃなかろうかと。
もちろん"顔"役は竹中直人で。
男の衝撃のラストシーンも是非映像で見てみたい。
竹中直人で。
笑うわー。絶対笑うわー。
竹中直人で笑うわー。
けどやっぱちょっと怖いな。
窓の外見れなくなりそう。
さて、他の四作品もさくっと一言でご紹介。
表題作の『闇が落ちる前に、もう一度』は、
世界五分前仮説をテーマとした物語。
『屋上にいるもの』は、
自分の住むマンションの屋上に誰かが……という純粋なホラー。
『時分割の地獄』は、
とある人間に対し初めて『殺意』を抱いた人工知能の話。
詳しい感想は割愛しますがこういうの大好物です。
面白かった。
『審判の日』は、ごくわずかな人類のみを残して
ありとあらゆる生物が地球上から姿を消したという物語です。
全編通して貫かれているテーマは、『常識の崩壊』みたいな感じでしょうか。
自分たちの信じている『当たり前』が如何に脆弱なものであるか、
という恐怖を楽しめる一冊です。
同じく山本弘の短篇集である『アイの物語』ほどの衝撃はありませんでしたが、
ご興味がございましたら是非。
次は『去年はいい年になるだろう』をちまちまと読んでみようと思います。
というか、昨年末に上下巻まとめて購入したのですが、
どこかに消えてしまった。多分実家。
来週にでも部屋を漁ってみよう。
山本弘の短篇集です。
致命的なネタバレはありませんが、少々内容に触れますので
気になる方はスルーで。
5つの短編が収録されていたのですが、
取り分け楽しめたが『時分割の地獄』と『夜の顔』。
特に『夜の顔』の振り切った不条理っぷりというか、
抗いようのない何者かに対する絶望感は最高でした。
あらすじを掻い摘んで説明致しますと、
「人は何のために繁栄を続けてきた?何のために生きている?その先に何がある?」
という素朴な疑問を抱いてしまった男が、
ある日の夜、車の窓からふと人気のない路地裏に目をやると、
そこに"顔"を見つけた。
見た目はただの平凡な中年男性(著者曰く「竹中直人をイメージして下さい」とのこと)のそれなのだが、
首から下は存在せず、あまりに大きく、そしてあまりにはっきりとそこに存在していた。
その日以来、その巨大な"顔"は頻繁に男の前に姿を見せる。
しかし何故か『男が一人でいる夜』にしか現れない。
当然男は自らの精神病を疑うのだが、
医師の診断では、男の体には何ら異常は見られないとのこと。
そこで男は、「自分の頭が異常なのだ。この世界は正常だ」ということを証明する為に、
その"顔"を携帯電話のカメラに収めようと試みる。
ある日、至近距離に"顔"が現れた。
額のシミも、目尻の皺まではっきり見える。
呼吸音も聞こえる。
確かにそこに存在しているかのよう。
男はすかさず"顔"を撮影した。
画面には……。
といった内容。
信じていた『常識』や『法則』というものが、
いとも簡単に中年のおっさんの顔(竹中直人似)によって壊されていく恐怖。
特に何をされるという訳でもないのに、
巨大な中年のおっさんの顔(竹中直人似)が「確かにそこにある」という恐怖。
もうたまりません。
しかしこれ文章で読むと恐ろしい話なのですが、
映像化したら絶対笑ってしまう自信があります。
巨大な竹中直人の顔が突如音も無く現れるのを想像してみて下さい。
シュール以外の何物でもありません。
超見たい。
そこで思ったのが、
実写での再現が難しく、かといってアニメ絵だと魅力が半減してしまうようなこういった物語を
『惡の華』で一躍話題になったロトスコープなる技法で映像化したら面白いんじゃなかろうかと。
もちろん"顔"役は竹中直人で。
男の衝撃のラストシーンも是非映像で見てみたい。
竹中直人で。
笑うわー。絶対笑うわー。
竹中直人で笑うわー。
けどやっぱちょっと怖いな。
窓の外見れなくなりそう。
さて、他の四作品もさくっと一言でご紹介。
表題作の『闇が落ちる前に、もう一度』は、
世界五分前仮説をテーマとした物語。
『屋上にいるもの』は、
自分の住むマンションの屋上に誰かが……という純粋なホラー。
『時分割の地獄』は、
とある人間に対し初めて『殺意』を抱いた人工知能の話。
詳しい感想は割愛しますがこういうの大好物です。
面白かった。
『審判の日』は、ごくわずかな人類のみを残して
ありとあらゆる生物が地球上から姿を消したという物語です。
全編通して貫かれているテーマは、『常識の崩壊』みたいな感じでしょうか。
自分たちの信じている『当たり前』が如何に脆弱なものであるか、
という恐怖を楽しめる一冊です。
同じく山本弘の短篇集である『アイの物語』ほどの衝撃はありませんでしたが、
ご興味がございましたら是非。
次は『去年はいい年になるだろう』をちまちまと読んでみようと思います。
というか、昨年末に上下巻まとめて購入したのですが、
どこかに消えてしまった。多分実家。
来週にでも部屋を漁ってみよう。